こんにちは。

渡辺水華です。

現在、勤務先の翻訳会社では主に医薬関連の翻訳文に触れることが多く、
日英翻訳には必ず、ネイティブによるチェックが入ります。

医薬関連文書の内容として、医薬品の製造過程や治験報告、
症例報告を含めた投稿論文、動物実験の結果などがあり、
具体的な検査や試験の結果を報告したものが多いです。

そのなかで、特に頻繁に修正されるのが、
関係代名詞の”which”から”that”への修正です。

日本人が書いた”which”が
ネイティブによって”that”に修正されることが圧倒的に多く、
その逆はほとんどありません。

これは一体、どういうことなのか。

まずは簡単な英文からみていきましょう。

付け足し説明のwhich、必須情報のthat

関係代名詞を扱う文法用語としては、
whichは非制限用法
thatは制限用法に該当すると言えますが、
そんな用語を覚えたところで、なかなかピンとこないと思います。

たとえば、あなたが学校の教室で1冊の本を持っていて、
通りかかった友達がその本に目を止めたとしましょう。

あなたは、”This is my favorite book which I bought three years ago.”
「これ、お気に入りの本なの。3年前に買ったんだけどね。」と言ったとします。
最も伝えたい情報は、持っている本が「お気に入り」であることで、
その本を3年前に買ったことは補足説明となります。

このような場合は”which”を使います。
つまり、先行詞である”my favorite book”に対して補足すべき説明は、
ほかにもある可能性があるということです。

たとえば、
“This is my favorite book, which is currently very popular among young people.”
「これ、お気に入りの本なんだけど、今、若い人たちにとても人気があるのよ」
などと説明することもできます。

では、”This is my favorite book that I bought three years ago.”はどうなるかというと、
「これが3年前に買ったお気に入りの本なのよ。」というニュアンスになります。

たとえば、あなたがすでにそのお友達に、
「3年前に買った本がお気に入りだ」という情報を伝えていて、
「まさにこれがその本なのよ」と言いたい場合、

つまり、先行詞の”my favorite book”を
「3年前に買ったその本」と限定的に指す場合は”that”を使います。
文意を伝えるために”that”以下の情報が是非とも必要であることを覚えておきましょう。

前文をまるごと受けて立つ便利なwhich

You’d better eat more vegetables, which is good for your health.
「もっと野菜を食べたほうがいいよ。健康にもいいし。」

このように”which”は前文で言った内容をそのまま受けて、
それに対する説明を加えることもできます。

ネイティブによる関係代名詞の修正例

冒頭でお話しした内容ですが、
たとえば、動物実験の結果を報告する英文について、
ネイティブからはこのように修正されます。

Compound A which was administered to the rats showed inhibitory effects on platelet aggregation.
ラットに投与した化合物Aは、血小板凝集に対する阻害作用を示した。

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Compound A that was administered to the rats showed inhibitory effects on platelet aggregation.
ラットに投与した化合物Aは、血小板凝集に対する阻害作用を示した。

“which”が”that”に修正されただけで、日本語に訳すと同じですが、
「ラットに投与した」という情報は補足ではなく、
化合物Aを修飾する情報として必須であり、
伝えるべき事実と判断されるため、”that”に修正されます。