こんにちは。

渡辺水華です。

この記事は、IOHK社のブログ記事の内容を語ったシリーズ(全12回)で、
カルダノ(ADA)共同創設者であり、IOHKのCEOでもあるチャールズ・ホスキンソン氏と
IOHKの技術責任者ダンカン・クーツ氏がGoogleのロンドン本社を訪れたときの
Google社員との質疑応答の様子を記載したものです。

2018年7月12日~9月16日にかけて公開したYouTube動画と翻訳文になります。

【第1回】

【第2回】

【第3回】

【第4回】

【第5回】

【第6回】

【第7回】

【第8回】

【第9回】

【第10回】

【第11回】

【第12回】(最終回)

【引用元】
(IOHKブログ記事)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://iohk.io/blog/iohk-make-a-visit-to-googles-london-offices/

記事の内容

IOHK、グーグルのロンドン本社を訪問
グーグルスタッフはカルダノ話や暗号通貨の未来に興味津々

2018年6月28日

[1]
暗号通貨は、今現在、最も話題に上ることのひとつであり、そのことについてどう考えるかは人それぞれであるが、その技術が次にどうなっていくのかは皆、知りたいと思っている。グーグルでもこの状況は同じで、チャールズ・ホスキンソン氏は、グーグルに招待され、カルダノや暗号通貨の将来について語ることとなった。グーグルロンドン本社で開かれたミーティングでは、世界中のグーグルスタッフがプレゼンテーションを聞くために回線を繋ぎ、IOHKの最高経営責任者とIOHKの技術責任者、ダンカン・クーツ氏に質問を投げかけた。今日の技術分野の地盤の多くを築いてきた企業から期待できるであろう答えを求め、グーグルスタッフは、今年の講演ツアーでチャールズが受けてきたなかでも最も鋭く洗練された質問のいくつかを尋ねてきた。

チャールズがIOHKとカルダノについて手短に紹介したのち、会場は質問タイムに突入した。カルダノの開発は多くの関心を集め、チャールズはそのコンセンサスプロトコルであるウロボロスがどのようにステーキングを用いて人々をネットワークに参加させ、その運用を支援するよう促すのかを説明した。開発の画期的段階も注目の的となっており、そのひとつとして7月に期待されていたテストネットがIELE仮想マシーンにスマートコントラクトを実装してみたいと考えていた開発者に解放される。その後、今年中にShellyの開発段階の一環として、ネットワークの完全分散化が期待されるなど、チャールズは、ここに挙げられたあらゆるトピックに触れながらその背景を説明した。

その後、開発者がどのようにカルダノに関わることができるかについて、IOHKのテスト用スマートコントラクトの機能の一部、K frameworkについて、暗号通貨が今後どのようにプライバシー問題を考慮していくのか、そしてもちろん、暗号通貨がこの先どこへ向かっていくのかについて、質問が続いた。このセッションが終わると、グーグルはIOHKチームをガラス張りのエレベーターに乗せ、ビルの天辺へと案内し、ロンドンの景色を一望しながら楽しんだ。

以下がその会話の内容である。

[2]
質問者:ウロボロスとステーキングについて質問があります。現在、出回っているトークン数はプロトコルに参加してネットワークを運用しようと人々に思わせるのに十分ですか。

チャールズ:予備的な金融策として、上限が450億枚、現在流通しているトークンが260億枚なので、インフレに備えて若干、余裕をもたせていることになります。それと取引手数料があれば、トランザクションの検証を十分に補助することができます。

まず、マイニングと比較すると、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)、特にウロボロスは、運営費がかなり安価に抑えられるプロトコルです。実際にはそれほど費用が発生しないと考えていいほどです。しかし、もう少し広義で抽象的な疑問が残ります。手数料やインセンティブ、ステークプールと委託をどのように扱い、このあらゆるインセンティブを技術的にどう組み込んで、このシステムが意図したとおりに動いていると信じるに足る合理的でゲーム理論的な根拠が得られるようにするのかという疑問です。そこでわれわれは、業務の流れを2つに分けています。1つは、オクスフォード大学のアルゴリズムゲーム理論家で、ゲーデル賞の受賞者でもあるElias Koutsoupias氏が率いるものです。同氏はインセンティブに関するこの疑問に取り組んでおり、モデルの創出や(聞き取り不能)最初の例の理解に努めています。つまり、ステークプールを集合的に誰かに委託し、運営しようとするのであれば、どれだけの人材が必要で、経済的にはどのような結果になるのかということです。

別の側から見れば、人々を納得させたうえで委託してもらい、その人たちが報酬を得るとして、それをいくらにすべきなのか。また、ネットワークの運営費はどうなるのかなどについても、いくらか経験的に算出する必要があります。(聞き取り不能)払い過ぎてもいけませんが、システムを維持するため、24時間常にノードを運営するに足るインセンティブとなるような金額は十分に支払いたいとは思います。これは考えさせられる疑問ですが、インフレがあることも想定しているため、十分過ぎるほどの余裕をとってあります。市場がそうなることも考慮し、人々がただ参加するだけでなく、運営費に比例するたなぼた的な利益も得ることができると考えています。

先月、ステークプールの登録を募り、ベータテストに100人を見込んでいたところ、1,500人の応募がありました。われわれが期待していた人数の15倍もの人々が関心を示してくれたのです。

ベータシステムの金融項目についても、事実や状況によって調整される可能性がありますが、今、ここにある原動力が根底となる資産、つまりトークン(ADA)の価格に反映され、市場がそこに収束する傾向があるというのが現実です。手短かに答えるとすれば、結局は上手くいくと思いますが、長い回答としては、最初からちょうどいいモデルが得られることはないであろうということです。つまり、払い出しが少なすぎたり多すぎたり、ネットワークへの参加というものに基づいて考えれば、性質上、そうなるのは明らかです。報酬としては、おそらく払い出しが多くなる可能性の方が高いでしょう。

[3]
質問者:カルダノが動かしている全プロジェクトについてですが、今年中に確実に完了するもので特別大きな節目になるようなものはありますか。

カルダノのプロジェクトについては、cardanoroadmap.comを見てください。毎月、進捗状況を更新しています。また、週ごとに報告もしていますし、状況をできるだけ見える化するよう努めています。われわれの目標は、今年中にカルダノの次の大きなバージョンであるShellyをリリースすることです。これには相当、力を入れています。時期がずれる可能性がなくはないですが、おそらく大丈夫でしょう。難しいプロジェクトなので。Shellyとは、ネットワークの真の分散化です。現時点では、委託モデルを強化して、プルーフ・オブ・ステークのプロトコルを動かしているところです。そこにはPoSの仕組みが全部詰め込まれていて、ステークの権利は、IOHKのほか2つの企業が管理するノードに委託されており、連立ネットワークになっています。このあたりは常識的にやっていますよ。学会で研究してプロトコルを発明し、実施してみて、「はい、あとはよろしく」みたいなことはやりません。自転車の補助輪のように…と言うべきか、このシステムに連立的に着手して、われわれのしてきたことが正しいという確信を得て推進力がつけば、そのシステムを徐々に分散化するというやり方をします。それと、ステークプールを運営し、ステーキングのプロセスに参加させるために何百人もの人材を訓練してきました。そこには若干の無駄も出ますが、システムのリリースにはこの方がずっと自然なやり方です。なので、6ヵ月から9ヵ月の間、このプロセスを続けたのち、あらゆるShellyの仕組みが公開できればと思っています。

これと並行して、スマートコントラクトのためのテストネットをリリースしています。最初のテストネットが今月末にリリースされますが、これはKEVMと呼ばれるものとセットになっています。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校ではランタイム・ベリフィケーション(RV)を用いて作業をしたのですが、そこではイーサリアム仮想マシンの運用面でのセマンティクス(意味論)を採用し、「K」と呼ばれるメタ言語で記載しました。Kフレームワークによって、仮想マシンのセマンティクスからの構築による修正バージョンを実装することが可能になります。これは実にすごいことなんです。実際にはKセマンティクスを用いてVM(仮想マシン)を構築し、それをイーサリアムのフォークに接続して、月末にはそれを起動し、このフレームワークを機能させ、その上でスマートコントラクトを作動させるというテストをします。ほかにもカルダノのために特別構築した仮想マシンがあるんですよ。それがIELEと呼ばれるものです。ここでいうセマンティクスとは、公にはGitHubで利用できます。これから査読に出す論文があるんですが、そのテストネットは、6月か7月にローンチします。そうなるとイーサリアム業界でスマートコントラクトを書いている人々に、このシステムにも来てもらい、そこでコードを展開したり、IELEのガスモデルを見たり、このシステムがどう機能しているかについて理解を深めたりする機会を提供することができます。それから時間をかけてテストネットを繰り返し、最終的にはこの2つのシステムを一体化します。

(写真)

カルダノの構造的な特長の1つとして、会計システムと電算システムの分離が挙げられます。ジェリーの中のピーナッツバターと同じで、イーサリアムを用いてこの2つをまとめるのです。実装する側からみても楽しいですし、維持するのも簡単になりますが、多くの問題も生じます。電算モデルの部分部分をまとめて能率を上げようとすれば、支払いの能力も一か所に集めることになるうえに、電算システムの方が会計システムよりも責任が大きくなるのです。たとえば、トランザクションの例としてビットコイン対イーサリアムを挙げてみましょう。私がビットコインでJaneとPhilippに送金したとして、Janeからノートパソコンを、Philippから武器レベルのプルトニウムを購入したとします。このシステムのマイナーには、その2つのトランザクションを区別する術がなく、トランザクションは代替可能な状態になっています。操作する人間が誰かもわからない、ただのトランザクションなのです。しかし、コードを使えば、Crypto KittiesとSilk Roadの区別がつけられるかもしれません。Tor出口ノードを見れば、不正取引や児童ポルノ、著作権侵害などの法的責任や逮捕などの判例があります。もしJaneとPhilippのしていることの違いが発見されれば、電算システムの責任の方が大きいとされます。私たちの見解では、構造的にこの2つは分けておくのがよく、その方がフレキシビリティ(柔軟性)も保てます。なぜなら、(その方が)イーサリアムとの後方互換性など、多くの電算モデルを保有できるし、以前から違うモデルを保有しており、今、何らかの機能的なモデルをプラスしても、それを使って多くの素晴らしい仕事ができるからです。欠点はといえば、多くの台帳(レジャー)を同時にメンテナンスしなければならないうえに、台帳間での価値の移動方法も把握しなければならず、相互運用性も私たちが守るべき使命であるため、それにも取り組んでいこうと思っています。私たちはこのような決定を下しましたが、システムが複雑になるため、さらに多くの作業をこなさなければなりません。それをテストネットをとおして段階的に公開していくので、ちょっと手間がかかります。

[4]
ダンカン:(システムの)区画化という側面もあります。
イーサリアムはモノリシック(一枚板のようなもの)で、あらゆる機能が束のように結合されているため、1つが壊れると全体が壊れてしまいます。発見しにくい根本的な欠点があると、あらゆるERC20トークンだけでなく、イーサそのものがなくなってしまいます。それぞれのトークンが区画化されていない状態です。しかし、本質的に、ビットコイン式のシンプルな決済層があり、そのうえで、連結した異なるブロックチェーン上のEVMやEVMと同等のものを使うのであれば、その間でのお金の移動が可能になります。ただし、それ以外のときは区画化された状態です。もし、何らかの根本的な理由によって、悲しいかな、EVMにその理論を破壊するような欠陥があったとしても、決済層が破壊されることはありません。これは大きな利点です。チャールズが言うように、少しでもシステムを進化させられるという理由で、いくらかは実験的にこのような新しいものを付加していくことが可能になるということです。

チャールズ:サイドチェーンの最初の形式化については記載されていると思います。2017年に書かれたサイドチェーンに関する論文があります。知らない方のために説明しますが、サイドチェーントランザクションは、インターレジャートランザクション(台帳間取引)といえるでしょう。ソースレジャー(送信元の台帳)があって、デスティネーションレジャー(送信先の台帳)があって、資産があります。基本的にやろうとしているのは、トランザクションを開始することです。そこでは、デスティネーションレジャーがトランザクションについて、2つの質問に答えます。1つめは、その資産がソースレジャーに存在していたものなのか、2つめはそのソースレジャーの資産が二重送金されていないかです。基本的に知りたいのは、そのトランザクションを検証し、先ほどの2つの質問の裏づけをとるのにデスティネーションレジャーがどれだけの情報を必要としているかです。最初は、プルーフ・オブ・ワークのモデルを書き込むのですが、これは「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)の非相互作用系のProofs(証拠)」と呼ばれ、プルーフ・オブ・ワークの実施方法を説明するものです。現在は、そのモデルをウロボロスとプルーフ・オブ・ステークの領域に拡張し、この種のプルーフの構築の仕方やトランザクションがどうなるかについて詳細を記載した論文を提出したところです。今もなお、レジャーの大きさに対してプルーフの規模はどれだけになるか、検証時間、概略についても疑問が残ります。私たちが手掛けたプルーフは、特別なコンセンサスアルゴリズムを用いて機能させるものですが、特定のレジャーのみならず、あらゆるレジャーに対応するようにしたいので、そうなると多くの作業をこなさなければなりません。ただ、形式化したのは今回が初めてです。そのコンセプトは、われわれの競合でもあるブロックストリーム社によって、2014年に書かれた論文に挙げられていますが、適正な学術論文として査読のために提出されたわけではありません。それをするとなると相当、大変な作業になりますし、このような内容に厳正を期するには、考えるべきことが多くなります。長い目でみれば、スケーラビリティのためにも相互運用性のためにも、また、検証のためにも、これについて考えるのは素晴らしいことです。なぜなら、そうすれば、異なるパラメータを備えた回路バージョンを展開することが可能ですし、価値の移動が簡単になり、人々にその場を離れることによる意思表示をさせることもできます。

質問者:カルダノはどのようにしてイーサリアムの先行者利益を克服するのでしょう。暗号通貨業界には多くのスマートコントラクトプラットフォームが共存するようになるのでしょうか。それとも1つのプラットフォームが優勢になるのでしょうか。

それでは、何人のJavaやC++やGoの開発者がイーサリアムにコードを書き込んでいるのでしょう。そんなことはできませんよね。イーサリアムはそのような言語を支持していません。イーサリアムプラットフォームではたった1つのバイラルアプリケーションも実行することはできません。上位の10言語を見ても、そのいずれもこのシステム上では機能していないし、定義上は、そのような開発者の皆が皆、このシステムの開発に従事しているわけではないとすれば、開発者はほかに新たなツールや何かを探して習得しなければなりません。まず、私たちは、カルダノを用いて100%後方互換性でEVMを実行しています。なので、自分のSolidityコードやWeb 3分散型アプリ、イーサリアムについて知ることになったもの、気に入ったものを何でも使えるし、このシステム上で実行することもできます。コンセンサスモデルがこれまでよりも優れているので、このシステムで動作する方が速くて安くて安全です。次に、イリノイ大学での作業、ランタイム・ベリフィケーション、そして、Grigore Rosu教授と教授のチームをとおして、セマンティクス(意味論)に基づいたコンピレーションというものに取り組んでいます。これが成功すれば、K言語により定義されたシステムは何でも使えますし、それを翻訳して私たちのマシン上で実行することもできます。新しい言語のためにすべきことといえば、1度だけK言語でセマンティクスを書き込むことで、あとの作業ははKフレームワークがやってくれます。このプロジェクトは大変で、リスクが高く、そのぶんハイリターンも期待できますが、これが終われば、結局は主流言語を支持できるようになるのです。システムの一部は後方互換性であり、一部は主流言語を支持し、また一部は、リアルに利用されているアプリケーションの大半が現時点では、イーサリアム上で動作していることを認識しつつあります。もう1つ言えるのは、スマートコントラクトはモノリシックではなく、1つのブロックチェーンにアプリケーション全体を書き込んで実行するとして、実際には、サーバーと顧客のコンポーネントを加える必要があります。これをポーカーゲームのように考えてみましょう。あなたはサーバーに対して乱数生成は信用して任せますが、プレーヤーのマッチングやアカウントの管理など、他のものは、あなたのブロックチェーン上で実行することはきっと、ほとんどないでしょう。そんなことをしようとするのは、ばかげています。そのようなことは何かのサーバーバックエンドで実行するものです。さらに、スマートコントラクトは電算業務として扱います。なので、「1つのプラットフォームと1つのトークンだけが勝った。」などと言うのはおかしな話で、それは、インターネットエクスプローラーが勝ったから、われわれは皆、Active Xの開発者でなければならないと言っているようなものです。私は、IEやAmazonのウェブサービスに忠誠を誓ってはいませんし、ユーザーのことを考えると、私が自分の計算法を実行するとすれば、最も安価で最善で安全な環境とは何なのかを問わなければならないと思っています。われわれの戦略は後方互換性を採用し、多くの言語、特に主流言語をさらに優れた方法で支持することであり、ユーザーエクスペリエンスも開発者エクスペリエンスも向上させ、このようなコントラクトを生かすエコシステムについて賢くなることです。サーバーを機能しやすくし、多くのレジャーを用いて、優れたアプリケーションプラットフォームを備え、これを展開してこそ、きっと大きく成長できると思っています。

そして、もう1つ。今、スマートコントラクトを書き込む人はほとんどいません。それをいじることはあっても、開発する人はほとんどいないのです。開発者の99%がそのエコシステムにいないのであれば、誰かが先行者利益を手に入れているなどという話には意味がありません。

[5]
質問者: 2014年に大学のプロジェクトでKフレームワークをいじったのですが、極端に遅かったです。

チャールズ:そうですね。それは、OCamlバックエンドに対応するKというものであって、われわれが構築しているのは、LLVMバックエンドに対応するKなので、それだと約100倍速くなるはずです。

質問者:でも、それで十分なのでしょうか?それだと、コードが何千行もあるそれなりに大きなプロジェクトを動かすことは全くできなかったのですが。

ダンカン:Grigoreさんが解決しようとしている問題の一つがそれなんです。おっしゃるとおり、直接セマンティクスを操作するとなると非常に遅い。ランタイム・ベリフィケーションは基本的にコンパイラアプローチを実行しようとするもので、この方法であれば速いと考えられています。

チャールズ:それでもまだ、正確にはどれだけのパフォーマンスが必要なのか、手書きのコードの桁数に収められるのかという大きな疑問が残ります。コンセプトのプルーフ(証拠)のひとつとして、今月末に着手するテストネットがあります。これは、K言語で構築されたイーサリアム仮想マシンのバージョンのひとつを実行します。KEVMではスマートコントラクトを実行したり、イーサリアムのテストネットと比較したり、この2つの間のパフォーマンスデルタを確認したりすることができます。しかし、あなたが使用しているオープンソースKフレームワークの構成要素は、Grigoreさんが使用しているバージョンとは違うということを理解することも重要です。Grigoreさんは自身の民間企業のために2組目のソフトウェアを構築し、そのランタイム・ベリフィケーションは、ボーイング社とNASAとの契約のために使っているので、あなたが使用したものよりも約100倍速いと思います。しかし、それにしても、まだ改善が必要な大規模なパフォーマンスのデルタがあります。うちのチームは大きくて、そのコントラクトには19人が関与しています。そのうち何人かがパフォーマンスのために特別に割り当てられます。仮にそのパフォーマンスを克服できなかったとしても、難を逃れて状況を少しだけ改善できる手立てはたくさんあると思います。たとえば、一部を手書きにするとか、従来の技術で活かせる部分を増やしてセマンティクスによるコンピレーションを止めるとか。それでもまだわからないことが多いですが。これもまた、私たちがマルチ計算モデルを使う理由で、IELEフレームワークやKフレームワークに加えて、Plutusと呼ばれる代替法もあります。

ダンカン:スマートコントラクトのほとんどの計算時間が暗号プリミティブに充てられるとわれわれは考えます。なので、そのスマートコントラクトを解釈するのに世界一速いインタープリターは必要ありません。Plutusですが、私のようなプログラミング言語の基礎知識がある人は、EVMやSolidityを見ますし、Plutusを書いた人はプログラミング言語設計の経験があまりなかったのではないかと言います。プログラミング言語設計には学術分野があり、Plutusは、Solidityの設計については全く伝えていなかったようです。このようなことからもわかるように、1つでもエラーコードを見落とせば、あなたのスマートコントラクトがみんなのお金を失わせてしまいます。そこで私たちはチャールズが言ったように、2つのスマートコントラクトプラットフォームと、後方適合性の理論、EVMのKバージョンとEVM式のIELEとのバイト単位での適合性を備えつつ、明らかになった問題点の多くを修正しています。すると、どのようにしてSolidityプログラムをIELEとKEVMにコンパイルするのかという話になります。私たちには、プログラミング言語リサーチ、特に関数型プログラミングに立脚したスマートコントラクトプラットフォームがあります。実際に実行された関数型のコア言語、システム(聞き取り不能)、そのコア言語にコンパイルされた2つの言語に立脚した方法です。コア言語はコンセンサスノード上で実行されるものです。それはEVM(聞き取り不能)と同等です。私たちはそれをVMとは呼ばず、それは、同等の中間コードでしかない状態で、そこに最初に2つの言語をコンパイルするのです。ひとつはPlutusと呼ばれるもので、多くの意味でHaskellに大変よく似ていながら、簡素化され切り詰められた関数型のチューリング完全(turing-complete、計算完備)言語です。そして、特に金融アプリを目的とする非チューリング完全DSL(ドメイン固有言語)があります。これは「金融スマートコントラクト」という2001年の論文に基づくもので、人々が書きそうなあらゆる一般的な金融コントラクトから異質なコントラクトにいたるまで、これによって表現することができるのですが、これまでよりもはるかに簡単にできるので分析も理解もしやすいです。大事なポイントとしては、あなたのアプリケーションがそのDSLのドメインにうまく収まれば、はるかに短時間で簡単に分析できるプログラムを手に入れられますが、(そうでなかった場合の)代替法としては、汎用の関数型チューリング完全言語を選ぶこともでき、いずれにしても、二層言語によるアプローチになります。既存のイーサリアムアプリケーションを見ると、チャールズも言ったように、ブロックチェーン上では実行されておらず、クライアント側ではかのJavascript、バックエンドではSolidityコードというものが実行されているのです。あなたのプログラミングモデルは、いずれにしてもこの二層式なるものですが、われわれのウェブスタックのように多くの意味で異なる2つの言語が存在します。われわれのウェブスタックは時を経て成長し、ある言語がバックエンドで、これとは別の言語がフロントエンドで実行されており、多層言語環境は、特に、はからずも成長してしまった場合、そう簡単にはいかなくなります。私たちにはそれがわかっているので、さらに慎重なアプローチを選びますし、言わば、明確な二層言語を設計し、このビットはブロックチェーン上で、このビットはクライアント側で実行しようということになったとしても、両言語は大変よく似ているということになります。実際には、Haskellをクライアント側で、Plutusをブロックチェーン上で実行します。PlutusはHaskellによく似ているので、1つのプログラムが1個のファイル、つまり、1つのプログラムにチェーン上で実行する埋め込みスニペットとオフチェーンで発生する脈絡のない(聞き取り不能)層が備わっていることがわかるでしょう。そうなれば、さらに優秀で統合された開発というものを身をもって知ることができ、私たちはチェーン上で実行するものを分析するようなことができるようになり、あなた方もチェーン上のコードの安全性特性を立証することができるでしょう。

チャールズ:また、共通のコアを共有しているため、パフォーマンスはHaskellと同等になるはずです。

ダンカン:そうですね。HaskellコードはHaskellコンパイラを介して実行されることになります。

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質問者:カルダノのプロジェクトに刺激を受けているソフトウェアの開発者はどのようにしてプロジェクトに関与するのが最善でしょうか。IOHKでは開発者を教育したり、開発者が関われるような役割を設けたりする計画はありますか。

チャールズ:グーグルの皆さんのダート(Dart,プログラミング言語)を使っての実績については本当に感銘を受けています。そこに投じた皆さんの開発者としての経験への取り組みが素晴らしいし、そこから学べることもあります。

方法についてはかなりの厳正さが求められるため暗号通貨を扱うのは難しいです。暗号作成者によって書かれたホワイトペーパーや公式規格の概念を学ぶことからスタートし、それを実行し、正確さを証明し、そのプロジェクトをいつ、どのように公開し、開発者のソースをひとつに絞り込んで上手く連携するところまでもっていくかを割り出すのです。特別に人を雇って外部のコニュニティーとの連携を図り、われわれがどのようにプロジェクトを運営しているか、どのように物事を記録しているか、第三者の貢献をどのように受け入れるかを伝えるようにしています。われわれのスタックには多くの技術があり、Kに対してはかなり力を入れているので、そこに貢献したいと思っている方にはぜひ、そうしてほしいです。われわれのスタックにはエレクトロンがあるので、ウォレットのフロントエンドにはクロミウムとノードジェイエスを使用しており、ダイダロスウォレットでは、そこで多くのことが進行しているため、その面で貢献して下さるのは大歓迎です。もちろん、ハスケルのバックエンドもあります。Rustでそのバックエンドの一部を再実行し、ブラウザではRustとウェブアッセンブリを用いて、いわゆるクロムベースのウォレットの実験をしています。そこには多くの技術があり、その人のコアな能力や正確には何に貢献したいのかによっても左右されます。われわれは、外部の開発者が抵抗なく入って来て援助してくれるような使いやすい正式な外部プロセスを構築していかねばならず、それをどのようにやっていくかを割り出すことが今年後半の優先事項となります。

そしてもう一つ、特にこのようなプロトコルを用いたオープンソースプロジェクトが上手くいくにしても、競争力が必要となります。私がイーサリアムを運営していたとき、私たちにとってはマルチクライアントモデルが非常に重要で、結局、GethとC++クライアントを実装することになりました。そして、後に、ギャビン・ウッド氏が分裂し、イーサリアムのパリティクライアントを創設しました。そのおかげで私たちはプロトコルを適正に詳述することを余儀なくされ、これが偉業となったのです。そこには曖昧さが(聞き取り不能[ない?])ので、私たちはもはや「そうですね、そのコードはこの規格になるかな」などとは言えません。なので、私たちは適正なドキュメンテーションに懸命に取り組みましたし、具体的に実行するときも同じような環境を選び、いくつかの代替的なプロジェクトを育てるのも素晴らしいと思っています。しかし、現時点では、カルダノのフォーラムへ行き、GitHubのレポジトリへ行くのが最も得策ですし、もちろん問題点を明らかにして、IOHKの開発チームにメールを送ることもできます。本気でオープンソースに貢献することに興味があれば、私たちの一員になってもらう道も考えてみますよ。長い目でみて、きちんとしたプロセスを踏むのが結局は本当の意味で人々が簡単に繋がれる方法だと思うからです。繰り返しになりますが、特にどのレベルの内容に貢献したいかによるのです。たとえば、私たちは正式な仕様検証業務に携わっていますので、もしあなたが、IsabelleやCoq(定理証明支援系言語)の開発者で、私たちとともに働きたいのであれば、それは素晴らしいことです。5人もいれば、それができるでしょう。ただ、軽い気持ちではなく、人材を見出すのは楽しいものです。ほかにも、たとえば、われわれのシステムでアプリケーションを構築したいという人もいいですね。近いうちにテストネット(IELE??イエラ)に着手するつもりなので、そのシステムにソフトウエアを書き込んで展開し、デバッグなどもしてくれる人がいればありがたいですね。そうすれば私たちのシステムの改善につながりますし。これが私からの答えにならない最善の答えです!

Note: try to break
break=【電算】 〈プログラムを〉デバッグのため実行を中断させる.

ダンカン:今現在、われわれのコードは全部、GitHub上でオープンになっている状態です。このプロジェクトはわれわれのプロジェクトの1つで、オープンソースではありますが、まだオープンになっておらず、何かと協働させるようになっています。たとえば、今のところ、私たちが人々と協働するのは困難で、理由は、まだ、GitHubとそのissue trackerを併用してはおらず、現時点では非公開のissue trackerがあるという段階です。なので、そこに行き着くことを目指すとして、他の人々がドキュメンテーション(文書化したもの)を見て、理解して、貢献し、それを私たちが受け入れるというのは簡単です。目標は、そこへ行き着くことであり、まだそれが達成できていません。なので、あらゆるコードを読みに行くことはできても、オープンチケットがそのものを見ることができないという、いわゆるそのドキュメンテーションがちょっと継ぎ接ぎ状態だということです。なので、人々を繋げ、現実的に誰もが貢献していただけるところまでいきたいと思っているのです。

チャールズ:これから、決定した多くの設計に注釈をつけていきます。たとえば、最近、ウォレットのバックエンドについて正式仕様を発表しました。たしか、UTxOウォレットについてこれをしたのは初めてなので、YouTubeでレクチャー動画を作り、それをセクションごとにまとめ、特に決定した設計の機能やシステム全体について開発者を教育するという目的でアップしています。システムのそれぞれの構成要素を明確に説明したもので、それを実行に移そうとしているところです。IOHK Educationという社内部門があるのですが、これは、その分野専門のLars Brunjesさんという数学者が率いる部門で、そのうち具体的なドキュメンテーションの方法がわかるようになるでしょうし、貢献できる能力のある人が入って来れるようにしたいと思っています。私たちのissue trackerをどのように公開するかについても話し合っているところです。これにはセキュリティー上の問題が多いのが普通で、最初はissue trackerを非公開にし、プロトコルもまだ日が浅いので、方向性を決める討議を公開するなどを決定しました。われわれの考えとしては、とにかくそれを非公開にしておいて、そのことについて心配しすぎないようにするということです。しかし、オープンソースプロジェクトである以上は倫理的な義務もありますし、プロジェクトの管理や問題点の追跡などはもっと周知させていこうと努めています。なので、そのことについて公開している討議がたくさんあります。そのような内容が公けになれば、オープンソオースでの貢献もかなり容易になってくるでしょう。

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質問者:プライバシー(匿名性)についてもう1つ聞きたいのですが、MoneroやZcashのようなプライベートトランザクションを実装する予定はありますか。

チャールズ:そうですね、Moneroはリングシグネチャーと呼ばれるプリミティブ、Zcashはsnarkプリミティブを使用しています。プライバシーとは、その質問が実際には3つのことに触れているという理由で、複雑な話題です。つまり、リンク可能性(linkability)という観点からプライバシーが語られているということで、あるトランザクションとアドレスを見て、それを身元が確認できている人と結びつけられる確率はどれくらいかということです。基本的には匿名かハンドルネームから身元のわかる人まで行くということで、この範囲がリンク可能性の大きさということになります。そして、金額を難読化する作業が入ります。なので、そう簡単にアドレスやトランザクションと人を結びつけることはできなくなると思いますが、レジャー(台帳)は公開されているため、どのトランザクションが最も高額かは確認できますし、そのことが非匿名化されやすいトランザクションを見極めるヒントになります。「今日は1000万ドルのトランザクションがあったから、なんとかしてそれを奪い取ってやろう」などということになりかねません。そして、ネットワーク側のこともあるので、プロトコルの使用を難読化したり、プロトコルを使って何をしようとしているかを他人から知られないようにしたりできるかという問題が出てきます。このことについては3つとも既存の解決法があります。リングシグナチュアだとか、Zcashは第一カテゴリーを保護しています。第二カテゴリーは、例えば、機密トランザクションが保護しています。第三カテゴリーはDandelionのような技術によって保護されています。なのでまず、プライバシーとはひとつのスペクトルであり、規制のための討議を相当数重ねることになるのを理解しなければなりません。たとえば、日本は匿名性の通貨はいずれも上場銘柄から外す考えであることを発表したばかりです。そのため日本の市場に出て、かつMoneroのような匿名性を備えたいのであれば、われわれにとって優先性の高いADAが日本の取引所に上場する確率はきわめて低くなります。

一方、プライバシーは人道的権利です。システムにプライバシーというものがなければ、そのシステムの開始以降のあらゆる金融履歴が公開された状態で最初の時点にまで遡れるようなシステムを構築するということで、それではこのうえなく理想とは程遠い状態(dystopia、反ユートピア)になります。なので、この問題を解決する最善の方法は、本当に優れたプライバシーオプションをいくつか作り出し、改善案として実装し、そのシステムのガバナンス部分を活用することです。投票ができるようにしておけば、実際に代替案を提案し、「この素晴らしいものをまるごとリングシグナチュア式のプライバシーを付与して使いたければ、こうすればいいんですよ。」と説明すればいいのです。そうすれば、そのためにADAホルダーの中からどれだけ公けに支援が得られるでしょう。普通は一般投票をして勝った意見を確認して初めて自分がスペクトルのどの位置にいるかを確認することができます。しかし、重要なのは、人々には情報が必要であるということです。プライバシーを最大限にすれば、ある管轄区では図らずもプロトコルが違法となり、またある管轄区では市場へのアクセスが制限されることになります。プロトコルを公開すれば、望ましくない(dystopian)人々を引き寄せて、履歴を追跡され、悪用されることになります。なので、そこはコミュニティーに決断を任せますが、私たちも積極的にリサーチします。たとえば、Dandelionに関しては、これまでUIUC(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)のチームに資金を投入し、Dandelionのバージョンが今年には出る予定です。私たちはMoneroの暗号プリミティブの形式化に取り組んできた人々とも討議し、さらに効率よく優れたセキュリティーやプライバシーに繋がるよう努めてきました。UCL (University College London) からは、Sarah Meiklejohnさんによって成し遂げられた1件のプロジェクトが出ています。中国からは、北京、その他2~3ヵ所の教授たちによる、たしか、RingCT 2.0というプロジェクトが出ています。なので、優れた技術がたくさんあるのは確かで、私たちはその技術を実装する方法を知っていますが、現時点ではそのほとんどが、私のようにエコシステムを代表して決断するような人間ではなく、社会的環境に委ねられているといった状況です。

もうひとつ、滅多に言及されない内容が、バックドアの考え方です。私たちは討議(聞き取り不能)をしながら生きてきたわけですが、FBIのような信用できる関係者に無制限にプライベートバックドアを使わせる人もいれば、そうでない人もいます。しかし、このような事柄にもスペクトルが存在する可能性があります。たとえば、私たちはシステムの中にバックドアを置くことができますが、これをモノ暗号プリミティブによって構築しなければならず、このバックドアを使うにはシステムの過半数の合意を必要とします。つまり使われればそれが公開されます。で、あなたなら、一部のグループの人間だけが集まってほぼ一般的なことで合意(聞き取り不能)を得て、その人達がバックエンドを使ったことをあなたが知ってみたところで、それがシステム全体のためではなく、特定の人だけに使われるといったような通貨にすすんで投資したいと思いますか。そして、それが合理的な妥協なのでしょうか。なので、もっと細かい部分を話し合う必要があると思いますし、このようなことに配慮できるような技術がきっとたくさん開発されているはずです。事実、Snarkの発明者、Eli Ben-Sasson氏は最近、営利目的の会社を起ち上げ、このような技術を開発し、Zcashを増やして、このような種類のバックドアを提供し、配置のしかたによっては、1度の使用でも、監査と公開検証が実施できるようにしています。なので、われわれもそのような話には必ず参加して、最終的には何かの結論を導きだし、プライバシーというもの(匿名性)がどれだけ必要なのか(聞き取り不能)見極めます(?)。そのことと密接に関係があるのが、メタデータの位置と帰属の明記です。どのような状況で、要求されたトランザクションを添付し、どのようにそれを実施し、どのように共有するのかということです。コンプライアンスのためにもそのことが重要です。取引所を見ても、KYC(know your own customers)とAML(anti-money-laundering)の報告義務があるために、顧客に関する個人情報を膨大に抱え込むデータ保管機関となってしまっています。そうしたくなくても、法に従うためにそうしなければならないのです。それならば、実現性のある最小限のエスカレーションモデルのなかで、たとえば、アメリカ市民かどうかなど、顧客に関する質問ができるような問題点に応答するタイプのクエリがあったほうがいいですね。そうすればある程度の検証が可能になり、しかもそのデータを必ずしも保有する必要はないわけですから。

たとえば、アメリカ合衆国では飲酒は21歳からで、普通は運転免許証を見て(その合法性を)検証します。その書類を見るから、住所、免許証番号、正確な年齢や、肥満度、身長、目や髪の色がわかります。つまり、知る必要のない情報の束がそこにはあって、検証の仕方ゆえに不本意ながらそれを知ることになってしまいます。「あなたは21歳以上ですか」と尋ねればいいだけなら、ずっと簡単になります。それに対して「はい」と応答してもらえればそれで良いのです。その特定の質問以外にその人について知ることはないし、それ以上も以下もありません。それを証明するだけでも取引する人には十分負担になります。私たちはそのような話には必ず関わっていますし、プライバシーや検証計算の研究など、そのようなことについて研究しているエジンバラ大学に研究所を設けています。その研究所は、元マイクロソフトのスタッフでエベレストプロジェクトにも取り組んだMarkulf Kohlweiss氏が率いています。プライバシーについてはこの研究所に一任しており、いくつかの選択肢が得られるでしょうし、そうしたらその選択肢を民主的に検証します。ADAホルダーの皆さんがどの選択肢に決定しようと、われわれはそれをシステムに組み込んで実装します。そうはいっても、それには数年という時間を要します。

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質問者:実際に将来の展望について2、3件の投稿があり、これを読んでいこうと思いますが、カルダノロードマップにあること以外で、暗号通貨業界に次に起こる大きなことは何だと思いますか。たとえば、ハッシュグラフとか。また、それに関することですが、スケーラビリティやサステイナビリティ(持続可能性)の次は何が課題になると思いますか。ハッシュグラフのように、カルダノの現行のプロジェクト以外で、暗号通貨業界内で次に切られる大きなチケットは何ですか。

チャールズ:25年も30年も学術界では棚上げされてきたコンセプト、またはハードウェアやソフトウェアにみられる新興のトレンドで暗号通貨業界に現在、採り入れることができそうなものが多いのは大きな魅力だと思います。ここに3つの例を挙げます。1つめはマルチパーティ計算、2つめはトラステッド・ハードウェア(承認コンピューティング・ベース内で RACFR を介して保護される機器一式)、そして3つめが多くのPL(programming language[プログラミング言語])のコンセプトです。マルチパーティ計算については、このようなプロトコルやマルチパーティ計算のコンセプトについて知られるようになったのは1980年代ですが、プロトコルが効率よくコンシューマハードウェア上で実行できるようになったのはごく最近のことです。たとえば、標準的な例としてポーカーを挙げてみましょう。イーサリアム式の仮想マシーンでこういうものはやりたくないと思う例としては完璧ですね。ポーカーについては10万人のプレーヤーとではなく、5人とか10人とか15人とか、とにかくそれほど大人数のプレーヤーと話す内容ではありませんね。実際にポーカーで気にかけることといえば、人の目を盗み、ゲームの終わりにはどれだけ勝てているか負けているかです。基本的にはそうですね。そのときのデータがブロックチェーンに関与しているかどうかなど特に気にしないですし、ただのゲームなのにそこにある必要があるのかということです。私たちはブロックチェーンを仲介役や決済システムとして使い、お互いを見つけて代金が支払われたかどうかを確認するためにこれを用いているのであって、それ以外のところで実際に気にかけているのは、そのゲームをしたことなのです。特にメタデータのことなど気にしないし、したとしても、ゲームで勝つためにはその方がよほど効率がよければの話です。なので、イーサリアム式のソリューションを検討するなら、「そんなこと気にしなくても、スマートコントラクトとして書き込むし、5人でプレイしてるだけだとしても、どのみち、このポーカーゲームはネットワーク全体にいる各個人のやっていることで、それぞれの力量を競うものなのだから。」ということになります。なので、オフチェーンでそれをやるもっと賢い方法があると思いますし、マルチパーティ計算ならその道を提供してくれるので、その方法を検討しています。しかし、そうなると、このようなアイデアを検討しているMITメディアラボのEnigmaのようなプロジェクトもあります。なので、MPC(マルチパーティ計算)とブロックチェーンの交差を目にするのが本当に楽しみですし、ポーカーだけでなく、分散型取引所や汎用計算のようなことまで、すごいことがたくさんできると思いますよ。

トラステッド・ハードウェアは私たちが魔法をかけるように手掛けなければならない最も身近なもので、これも本当にすごいですよ。これはオフライン、オフチェーン決済ができる唯一の方法だと思います。たとえば、あなたがアフリカに住んでいるとして、私は先日までルワンダにいて、その前はエチオピアにいたんですが、もし私がアジスアベバあたりへ行って、「あなたがたは安定したインターネット接続ができない状況ではありますが、私が魔法のインターネットマネーであなたがたの抱える問題を全部解決しますよ。ただし、常にインターネットが使える状態にしておく必要がありますが。」などと言ったら、私は本当に頭がおかしいと思いますし、現地の人も私を見て、「気のふれた白人さん、あっちへ行ってよ。」と言うでしょう。現実的には、秘密鍵を保管できるようなトラステッドエンクレイヴ(信頼できる保護領域)があって、その秘密鍵によって残高が正しいことや、(マネーを)重複使用していないこと、いつ取引をしたかを確認できたり、秘密鍵を1つのエンクレイヴからもう1つのエンクレイヴに移動できたり、持っていたエンクレイヴ上で秘密鍵を破棄したりした証拠が得られたりすることが保証できるようになれば素晴らしいと思います。現時点で、このようなことができれば、つまり、トラステッド・ハードウェアによってこれが可能になるなら、オフラインで取引ができるのです。私ができることといえば、基本的に、携帯電話やハードウェアデバイスを持っている人のところへ歩いていって、私のハードウェアデバイスを使ってそれをタップし、秘密鍵を1つのデバイスからもう1つのデバイスへ移動させると同時にそれ(秘密鍵)を破棄した証拠をもって送信するので、相手はいきなり支払いを受けた状態になるのです。そのとき、ブロックチェーン側はといえば、何のトランザクションも発生していませんし、基本的に状態は同じで、秘密鍵をスワップしたことは誰にも知られることはありません。でも、支払いを受けた側からすれば、あたかも私が20ドルを手渡したかのように支払いが済んでいるのです。何も同期させる必要もないし、全部がオフラインで済みます。それを思うと本当にワクワクします。利用できる状態にない環境に暗号通貨が広がって、トランザクションのことを誰にも知られずに最大限のプライバシー(匿名性)をもって取引ができるのですから。これこそが、トランザクションの匿名性の最たるものであり、考えつくかぎりのアイデアの賜物です。たとえば、これをオフラインのATMに展開することもできます。オフラインで支払いができるのなら、ATMをオフラインにすることもできるはずですし、現金なども出せるようになります。トラステッド・ハードウェアは魔法のようだと思いますし、これを使って他にもいろいろなことができますよ。しかし、わが社にもこのようなことに着目した研究所がありますし、たとえば、Rivetz(リベッツ)のような会社や、Intelが関与するハイパーレッジャープロジェクトのSawtoothと呼ばれるプロトコル、IoT(internet of things)からデータの立証などにいたるまでの範囲を網羅するソリューションがあり、私にとっては刺激になります。

そして、プログラミング言語のコンセプトの観点からは、私よりもダンカンの方が詳しく説明できると思いますが、私を最もワクワクさせるのが、フォーマルな仕様を魅力的に創り出そうというこの考え方なのです。これまでも影響力の大きいプロジェクトが何件かありましたが、非常に時間がかかるし、とてつもなく高くつきました。たとえば、検証が済んだマイクロカーネルのseL4がこの例に挙げられます。10年とか、そのくらいかかったかな。

ダンカン:そこまではいかないにしても、規模は大きかったですね。

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チャールズ:5年とか、とにかくまとまった時間が必要で、そのうえ何百万ドルもかかりました。正式な検証ソフトウェアといえば、NASAとかSpaceXとかボーイング社の人間が多額の予算とたくさんのエンジニアを抱えて、まともな人間ならばほとんどが普通のコンシューマソフトウェアにはかけないような5年、10年、15年という果てしなく長い時間をかけて取り組むという構想になりがちです。スマートコントラクトを見ると、これは小さなコードの一部です。標準的な例のどれをとってみても、Solidityに引っ張ってこれますし、それほど大きくはなく、数百行程度のコードで、通常はきちんと定められた事業要件に裏づけられたスマートコントラクトです。自分が意図していたことと実際の結果との間に意味論上の隔たりがあっても合理的に討議することができます。ですので、これは、正確性を検証する際の正式な仕様の記述法や検証方法の形式として取り上げたくなる完璧な例といえるでしょう。もう1つは、たとえ誤って何億ドルから何十億ドル失う可能性があり、なおかつ、環境をしっかりと設定しておいて、このようなことが起きても受け止められる態勢を備えておけるという意味で確実性の高いものなので、正式な仕様と検証として完璧な迎撃にもなりますね。なので、どこで古い技術を現代化して、それを手軽に自らの空間に取り込めるのかと思うと、私はとてもワクワクします。

ダンカン:われわれが成功すれば、みんながSolidityプログラムを書き込めるようになるだけでなく、正式な分析に適したスマートコントラクト言語でで書き始めることもできます。スマートコントラクト言語は、単にたまたま設計されたSolidityというのではなく、適正なプログラミング言語リサーチに基づいて、Solidityを使って頭の中で設計したものなので。

チャールズ:そうですね。それにこの業界で本当に競争が起きてきているのも素晴らしいです。たとえば、Michelson(スマートコントラクトのプログラミング言語)を使ったTezosですが、この言語の名前がたしか、Liquidityだったと思いますが、これも明らかに強く押されている銘柄です。Simplicityは、厳密なプログラミング言語の専門家、Russell O’Connor氏によって、Blockstream社で開発されているもう1つの言語です。 この業界には他にも例がありますが、F(検証指向のプログラミング言語)のコンセプトを用いたエンドプロトコルは1つです。Idrisをイーサリアムに移植して実行する試みもありましたし、イーサリアムに関わる正式な検証作業には、特にLemを用いた平井洋一氏が手掛けたもののほか、2~3件あります。明らかにそこに投じられた取り組みがありますし、本当に刺激になります。プログラミング言語を勉強してみると、このような技術は端に追いやられ、孤立しがちになりますし、このようなことに取り組むのは少人数のグループなので、誰もあまり注目しないですし、したとしても、自分たちのソリューションとして進めてしまい、社内で専有されることになり、特定のプロジェクトに使われ、それが済むと次に進むということになりがちです。私たちは、仕様検証のコンセプトを取り上げ、それを主流へと取り入れて、日常業務に携わるプログラマーもそれを使えるようにしようと努めていますが、これは本当に新しいコンセプトで、ソフトウェアの修正には信じがたいほど良い結果をもたらす可能性を秘めています。実際、どのような結果になるのかと思うとワクワクします。それには3つの要素があって、それがマルチパーティー計算とトラステッドハードウェア、そしてプログラミング言語に関することです。

ご質問にあった、ハッシュグラフなどの観点からは、DAG(directed acyclic graphs、有向非巡回グラフ)や、1秒間に1万件、10万件のトランザクションをこなすなどというハイプが多数あって、私に言わせれば、このようなもののほとんどはゴミ同然です。なぜなら、きわめて非現実的な環境に配置されていたり、適正な取引概略がなかったり、プロトコルがビザンチン内戦も起こさずに、つまり、ビザンチン時代の俳優がいようとプロトコルが失敗しようと、何の内戦も抵抗もなく、プロトコルが設計されていたりするのですから。そのあたりは非常に疑わしいと思います。シャーディングできてパフォーマンスが優れた本物のプロトコルが、たとえば、OmniLedgerやThunderellaなど、いくつかありますが、このようなプロトコルは学者によって学術界の中で構築されたもので、すでに証明されたプロトコルに基づいており、少なくとも査読は済んでいるという背景があります。なので間違いなく、そのようなものは存在しうるのですが、IOTAのように、Tangleと呼ばれる技術やHashgraphに基づく銘柄とともに世に出るとなると、普通はハイプの波が押し寄せてくるような気がするものです。資金集めにICOが起ち上げられ、心理的にそこへの投資に引き込まれるも、誰も本気で実施されていることの善悪を確かめることもしないのです。もう1つ言えるのは、現実には、1つのチェーンで1秒につき、10万件、20万件ものトランザクションを処理するようなシステムを構築する必要がないというものですが、率直にいうと、それは間違いです。そのままの状態でそのような処理能力があったとしても、どうやってそのデータを余すことなく移動できるのでしょうか。それを実行するネットワークが必要ですよね。次に、その全データを保存する場所は?自身のセキュリティーモデルとして、みんながブロックチェーンの複製を使える状態で、1秒間に10万件、20万件のトランザクションを実行するとしたら、1年後にはブロックチェーンがどれほどの規模になると思いますか。それにしても、グーグルやアメリカ国家安全保障局(NSA)ならば、全データを保存して、取り出したいものを取り出せますし、それがカリフォルニアであろうと(聞き取り不能)であろうと、望みどおりの施設にブロックチェーンを取り入れることもできるでしょう。しかしこのようなパフォーマンスを望むのであれば、必ずネットワークを連合させなければなりません。

私にとっては、サイドチェーンが多ければ、多層モデルにすることが大変、意味のあることです。決済チャネルや状態チャネルなど、オーバーレイプロトコルがあれば、1つの妥当なエンヴェロープに自身のトランザクションレートを保存しておこうとしますね。何が私をワクワクさせるかって、それはデータのシャーディングという概念です。ブロックチェーンをばらばらにして、ほとばしるようなデータの流れや分散化したデータベースを好きなように保存する様子を見てみたい。SiacoinやFilecoinなどのように途方もない資金に恵まれたプロジェクトもありますし、そのプロジェクトには本物のコンピュータ科学者による後ろ盾もあります。事実、たとえば、Siacoinは、中心となる論文がユーロクリプトカンファレンスで最優秀論文賞を受賞しています。(つまり)われわれの論文の上をいったわけで、これには相当、悔しい思いをしました。しかし、それは、2、3年前でいえば、StorageやMaidSafeなどの技術の第一波と相まって、われわれが位置していた場所に匹敵する1つの高い基準であって、私が長い時間をかけて答えてきたことです。次の質問にいきましょう。

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質問者:先ほどよりは短めの質問だと思います。IOHKではプラットフォームの開発に注力し、明らかにできるだけ早いうちに開発者が使えるようにしているようですが、新たなテストケースとして、そうですね、カルダノのスケーラビリティのプルーフ・オブ・コンセプト(概念実証)として、何らかの現実世界のプロジェクトを実施するかたちでチームで協働作業し、基本的にそのアプリケーションはただ、試験的に見せる手段にするというのが有益だと考えているのでしょうか。

チャールズ:そのとおり、Xboxを構築しているようなものですね。で、ご質問は何がわれわれのHaloなのかということですね?

質問者:まさに、そのとおりです。

チャールズ:何がわれわれのゲームなのか。そしてカタログは?われわれには業務開発部門があり、パートナーとしてEmurgoがあります。Emurgoは日本のベンチャー基金で、このようなプルーフ・オブ・コンセプトとして活躍するカルダノ上で展開すべきプロジェクトを見出す組織です。そしてある程度の成功を収めています。私たちは、試験的実施への圧倒的な需要があると見込んできたのではなく、すでに需要はあることを確認しています。私はつい先日、エチオピアにいて、科学技術省と会談し、覚書(MOU)を締結しましたが、エチオピア政府はコーヒー生産に関して、ブロックチェーン上でのサプライチェーンの管理を強く望んでいます。現時点では本当に大きな市場で、150万軒の農家があり、サプライチェーン上で大量に流通しているため、プラットフォーム上では大きなストレステスト(耐久試験)になるでしょう。しかしそこで公けに疑問として挙がるのは、何をメインネットワークで実行し、何を匿名許可によるレジャー(台帳)で実行すべきかです。とある理由から、ハイパーレジャー(Hyperledger)が存在しますが、IBMも黙ってはいないですね。企業のニーズに応えるために本当に良いプロダクトを創出してくれました。カルダノプロジェクトの一環として送金面では、単に最大限に分散化された単一の普遍的な環境で実行されるものを見るだけでなく、非公開設定で展開できるものは何かを問うています。標準的な例として私が見たいのは取引所です。取引所がトークンを扱う方法を見てみると、基本的に取引所にはアドレスがあって、そのアドレスに自身のビットコインやイーサリアムを送りますね。取引所ではホットウォレットなりコールドウォレットなり何らかの方法でそれを保管します。取引所では状況に適した設定でそれを配置しようとするため、ホットウォレットに欠陥があっても、保管されている資金の大半は失われることはありません。それはいいことなのですが、最適な環境ではありませんね。サイドチェーントランザクションを使って、個人のレジャーへトークンを送金した方がずっといいわけです。自己の資金を扱う取引所をすでに信用してるとすれば、メインネットワークに置いたまま実際にはそれ以上、セキュリティーを確保しようとはしませんし、つまりは、取引所に対して「私のトークンをもっと安全に保護するために取引所なりのビジネスロジックを取り入れることなどはできませんよね。」と言っているのと同じなので、実際にはセキュリティーが失われているのです。たとえば、システム障害が起きた場合にトランザクションを元に戻すなどの能力とか。

なので、カルダノでは、許可を受けたレジャーとそうでなレジャーの関係性を研究し、この2つを連結できるポイントを見出すこともプロジェクトの一環としています。負荷の高いアプリケーションにとって、そうですね、コーヒー産業でのサイドチェーンの管理にしても、100万軒の農家に、毎日何百件、何千件ものトランザクション、千単位で膨れ上がるデータ、センサデータをまとめるIoTコンポーネントを抱えながら、そんなものを1つの大きなネットワークで実行し、リソースを巡って他のあらゆる存在と競わせるなんて、まったく意味がありません。ならば、洗浄対策を備えて政府と人々とのコンセンサスノードを実行し、そこに許可を受けたレジャーを設置して2つのシステムを連結させる手段を創出する方がずっと理にかなっています。何かできるとすれば、定期的にレジャーをハッシュしてメインレジャーに保存するというのがその例ですね。自分のケーキを手に入れてそれを食べるというふうに。ブロックチェーン式の環境を手に入れ、タイムスタンプ(ファイル更新日時の記録)をもらって、自動車運転ができるようになり、節度を保てば不変性とその記録が得られ、それでいて、コストをかなり安く抑えて予測可能な範囲での操作性が得られ、自らのシステムのなかで自分のビジネスロジックに合わせてレジャーをカスタマイズするのがはるかに簡単になるときが来ます。われわれはそのようなことを試験的に実施したいと思っていますが、スマートコントラクトをわれわれのシステムに搭載したいとも思っていて、Plutusが全面的に使えるようになれば、ここぞとばかりに多くの人を集めて作業をしてもらいたいと思っています。私たちにある利点といえば、コードの基盤としてハスケルを選んだので、ハスケル界のみんなと協働できることです。現時点では、われわれが協働していない主要なハスケル関連グループが4つか5つあるという感じです。今、協働しているのが、Tweak社、FP Complete社、Well-Typed社などです。その業界ならみんな知っているし、ハスケル界には優良銘柄として足跡を残していますよ。Plutusが使えるようになれば、Plutusのような言語でスマートコントラクトを書き込めるようになりたいというハスケルの開発者が大群となって出てくることでしょう。こうしてイノベーションの波が作られるのです。

われわれのシステムで教育訓練を受けた開発者部隊も創り出してイノベーションを起こすことだってできますよ。IOHKにも教育部門があって、授業もあります。アテネにも、バルバドスにもありますし、もうすぐエチオピアでも授業をするつもりです。ところでその授業の参加者は全員女性開発者で、それは政府からの要請なのです。われわれはその女性たちにハスケルとスマートコントラクトを教えます。それを学んだら、目標のプラットフォームに向けて、われわれのシステム上にソフトウェアを書き込んだり、多くのプロトタイプなどを書き込んだりしてもらいます。このようなものを集大成するのです。そのうちの一部はシステムをブランディングして披露するために使う必要がありますが、必ずしもメインネットワークで実行する必要はなく、許可を受けたレジャー上で実行することになるでしょう。一部はメインネットワークで実行する必要がありますし、そのチャネルを使ってわれわれのシステムに開発者を誘い込む必要もあります。企業としてはそれを遂行してきましたし、パートナーたちもそれを遂行してきました。しかし、ここで指摘しておきたい重要なこととは、そもそも圧倒的な需要があるということであり、われわれと一緒にそのようなことをしたい人がたくさんいるということ、なおかつそのような人々に「No」を言わなければならないことです。現時点ではわれわれにその受け皿がないというのが理由です。

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質問者:興味が湧くお話ですね。ちょっと先が見えない分野ではありますが、社会に果たす暗号通貨の役割として何が挙げられますか。今現在は、「ランボー」トークだったり、「トゥ・ザ・ムーン(月へ行く)」などの域を出ない投機的な動きが多いなか、いずれ、私たちの祖母なども日常ベースでこれを使えるようになるのでしょうか。水面下ではそのような動きがあるのでしょうか。これについてどう思われますか。

チャールズ:そうですね、インターネットによる革命も同じように言われていたのは、そう遠い昔ではなかったことを思い出してください。人々がベーパーウェア(新製品として発表されているのに実際には発売されていないコンピューター関連商品)によって途方もない金額を稼いで、市場が崩壊しました。その廃墟の上でグーグルやFacebook、YouTubeなどが生まれたのです。なので、暗号通貨の技術とは、ファンダメンタルの構成要素に分解してみると、信用と協調、アイデンティティー(独自性)、評判(うわさ)、価値の表現と価値の動向を考察することといえます。ここに挙げたことが、暗号技術のコアとなる構成要素です。社会と市場を見ると、このような要素をいかに組み込んでいくべきかに関して意見が求められます。そこで、起きた事実、つまりデフォルト設定を見ていくと、そこにはほとんどいつも、希望的観測ではなく、ある程度の「必要性」というものが介在しています。(たとえば)ボブのことが好きという理由でボブに仕事を任せたり、門番を任せたりしているのではなく、彼がたまたま周辺で事業を設立し、その事業が上手くいったから、市場構成の機能の中核を成す要素になったのです。大きな例として、eBayを取り上げてみましょう。誰もがeBayそのものが好きなのではなく、eBayがeBayであるかぎり、取り引きの必要性があってしているわけです。市場という場所が必要、評判を上げるシステムも必要、売り手と買い手の調整も必要、決済システムなどもしかりで、eBayはたまたまその闘いに勝ち、今や市場を独占し、その路線をひた走ります。同じように、YouTubeでは、悪いけど、複数の人々がいて、問題を起こす人もいますし、マネタイズができなくなったりもします。あなたたちはいい仕事をしていると思いますが、そうでない人もいます。しかし、いずれにしても、YouTubeはYouTube、規模が大きいですからね。Uber(アメリカ合衆国の企業であるウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリ)もそのような例として挙げられます。

このようなことは何百とありますが、よくみると、生活のあらゆる側面で、お金や商取引、保険や物資の流れのなかにもみることができます。なので、暗号通貨技術の何たるかを言うとすれば、それは、この市場を立て直して、中央に介在する者を取り払い、買い手と売り手を直接繋ぎ、何らかのかたちで協調し、互いに信頼できるようにし、商取引を成功させることはできないかということです。今、多くの物事がその方向に向かっています。評判のようなものや保険になるもの、決済システムが必要だったり、まだありませんが価値の安定した通貨、信用、金銭が十分になくても決済できる能力、つまり eventual settlement(最終決済?)と呼ばれるものですが、そこで支払いは発生するのだけど手持ちがないときの決済方法だったり、そういうものが必要になるわけです。そんなことが世の中にたくさん起きています。請求のシステムとか、とにかく必要なものがたくさんあります。しかし、基本的な要素が全部そろっていないからといって、そのシステムにメリットがないわけではありません。そこはインターネットも同じで、クッキーや証明書、ブラウザや優良なウェブ言語が必要でしたし、迅速にモノと人を繋ぐ高速インターネットも必要です。結果的にはモバイルインターネットなども必要になりました。ひとたびこのようなインフラが整うと、インターネットは私たちの生活をガラリと変えました。暗号通貨も多分に同じ道を辿るとみているのです。

そこで、当然疑問として上がるのが、トークン(the token = ADA)というものがこのあらゆる場面のどこに入り込むのかということです。これまで私が言ったことについては必ずしもビットコインが必要ではないし、必要なのはプロトコルやレールを敷くことなどだからです。トークンの役割とは、人々がこのような特別な類のシステムを維持するインセンティブなる仕組みです。必ずしも価値を示す道具である必要はありません。トークンとは、特にプルーフ・オブ・ステイクというシステムの中で、最終的には誰が管理者たるかを決めるものにすぎず、この点についてはきわめて明確です。私は、長い目で見たときに、プルーフ・オブ・ワークはいずれも、持続可能性にも競争力にも欠けるため、最終的には消えていくと思っています。しかし、プルーフ・オブ・ステイク上では、トークンは誰が投票権を獲得し、誰が管理者を決めるのかを示すことができるのです。結局何が起きるかというと、価値の流動化や価値のトークン化が起こり、それをわれわれが世界共通のウォレットという概念に収束させようとしているのだと思います。人生のなかで人は、多くの価値の蓄え、つまり、商品や在庫、債券、不動産を抱えています。私は航空会社のマイルがたくさん貯まっていて、そのうちジェット機1台買えるぐらい貯まりそうです。1年
に200日旅行していて、63ヵ国行っていますから、かなり疲れています。私たちには通貨というものがあり、何にしても、このような価値の蓄えが何百種類とあります。現時点で、私たちはそれを同じように見ようとはせず、分け隔てしながら見ていますよね。自分の所有しているゴールドは航空会社のマイルとは違う。そう思うのはなぜなのか。金もマイルも単に価値であり、富なので、それをまとめると、あなたの資産のポートフォリオになるのです。だから、暗号通貨の流れの行き着く先は、価値を表わすトークンどうしの壁を取り払い、互いに相互運用性があることを示せるようにする方法を提供するというものです。ゴールドをシルバーに換え、シルバーを通貨に換え、通貨を航空会社のマイルに換えることができるということです。あらゆる決済システムが今、プログラミングできるので、あなた方のような多くの人々のおかげで、商売人は受け取りたいものによる支払いを受けることができるのです。なので、私はスターバックスへも歩いて行けるし、住宅をトークン化して売ることもできる。間にマーケットメーカーがいて、自分の家の100万分の1を売って、そこのコーヒーを買うこともできます。誰かが私からそれを買って、売った人がドルやポンドで支払いを受けることもできます。

全体にはそんなふうになっていくと思っていて、このような生きたトークンのエコシステムが得られることになります。プロトコルの制御と管理に連結されたトークンは生き残ると私は思います。なぜなら、トークンは基本的にそのプロトコルの社会に対する有用性と価値という意味で予測を立てる市場のようなものだからです。それは、あたかもBitTorrentのようなものをトークン化して、「はい、これがBitTorrentの社会に対する価値ですよ。」と言えてしまうようなものです。そして、そういう意味もありますが、コンセプトのトークン化や価値の蓄えのトークン化というのもあります。結局はそのシステムに対して出資するということになるのです。トークンは政府が発行してもいいし、何らかの方法で自分で価値の安定した通貨を作ってトークンを統合してもいいし、そのような通貨がステーブルコイン(安定したコイン)と呼ばれて、たとえ政府が発行したものでなくとも、ドルのように取引されます。コインは忠誠を象徴するものですが、好きなように扱うこともできます。それは、あなたがエンジニアの労働力を手配することができるとして、「私は40時間分の労働力を先払いで買えるから、公開市場でそれを人に買ってもらうこともできますよ。」と言うのと似ていて、そのようなことができてしまうのです。このシステム全体がそんなふうに回っていくようになるでしょう。単一の統合された世界市場があるのは本当にすてきなことで、信用と協調をこれまでよりもはるかにきめ細かく扱えるようになり、世界共通のアイデンティティーや評判が得られる市場もできて、それが後ろ盾となって、人々もそのシステムに参入してきます。安全な方法で相手方と取引きできる方法がわかりますし、価値が流動性を帯びてきます。さて、誰がその闘いの勝者になるのか、私にはわかりません。私は、このプロトコルにかけても、自分自身に賭けていますが、例外なく誰にでも勝てるだろうと思うほど、気がふれてはいませんし、そうであってはなりません。そこは、いろいろ(聞き取り不能)考え方があっていいと思います(?)。

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質問者:すばらしいですね、チャールズさん。今回のお話しは大変、ためになりました。本日は、お忙しいなか、お時間を割いてグーグルまでお越しくださり、大変、ありがとうございました。

チャールズ:あぁ、もう1つ言うのを忘れていましたので、さっと言いますね。このチラシを配らないと。こちらのオフィスに置いてなかったので。あいにく、リチャードが念力移動をマスターしていないようなので。(たぶん、ジョークです。)

リチャード(IOHKデザインチーム):明日、ちょっとしたミートアップがあります。前にお話ししたSymphony of Blockchainsのことです。そちらにいる人で明日、ロンドンに来る人がいれば、明日の午後、時間がとれたらぜひ、参加してください。チャールズもスピーチをするし、委任計画についてはLars Brunjes氏からもお話しを聞けるので。ちょっとしたショーもあるし、フリーバーもあるので、可能なら来てくださいね。

チャールズ:本当に短めに言わせてください。IOHKには秘密の第3部門があって、技術面でも科学面でもデザインの面でも対応できる企業になっています。われわれのデザイン事務所の長、リチャード・ワイルドもすぐそこにいるんですよ。科学的にも技術的にも正しければ、なおかつ私たちがしていることを実際に示して、視覚化する方法を見出すことが私にとっては本当に重要でした。コードを書くだけでは十分ではなく、それを生きたものにしなければならないし、目で見て、触れなければならないのです。なので、われわれのアート部門が視覚化に取り組んでいます。なので、まずわれわれはビットコインから始めて、ブロックエクスプローラーを視覚化するにはどうすればいいのかという話になりました。ブロックエクスプローラーは履歴を示しているにすぎません。このブロックには何があって、いくつのトランザクションがあって、どれだけの手数料が支払われたのか、などのデータです。これをわれわれのウェブサイト上で、3Dで閲覧できるアートピースに置き換えれば、結果的にVR(仮想現実)化され、その中を行き来することなどができるのです。こうすれば一般の方にはかなり利用しやすくなります。コンセプト自体は現実的にはつまらないし、その分だけ、私は大好きなのですが、面白いものではないですからね。でも、3Dアートにして、それをギャラリーに置いておけば、人々が目で見ることができますし、それができれば素敵なことだと思いませんか。これが物事を示すために視覚化する方法です。健全なネットワークとは何かというこれまでの質問への答えのようなものですね。ビットコインキャッシュが出る前は、どのブロックもデータでいっぱいになって、トランザクションの検証に何時間も、時には何日も待たされた挙句、手数料がとても高くつき、場合によっては1杯のコーヒーを買うのに25ドルもかかるような危機を経験しましたが、これではとても健全な状態とはいえません。なので、それを視覚化すればいいのです。そうすれば、ブロックチェーンを見るだけで、「あぁ、今日は真っ赤だし、良くない日だな。いつもならグリーンだからいいんだけど、いや、今日はよくない。今のビットコインはだめだな。」などと判断することができます。なので、視覚化は実に良い方法で、こうすれば人々を鼓舞して理解に結びつけることができます。

また、IOTAやハッシュグラフ、つまり、非環式グラフ(DAG)ベース構造対ブロックチェーンベース構造のようなコンセプトについて言えば、概念的にはどのような違いがあるのかということです。再度言いますが、1つはグラフ理論に関して話すこと。もう1つは実際に画像やモデルを見せること。なのでわれわれが手掛けるアートはいずれも対話式になっていて、Three.jsやWebGLなどを使っていますので、IOHKのウェブサイトに来れば、Symphony of Blockchainsも含めて、われわれが手掛けたアートの一部を見ることができます。今日のイベントはその第1回目になり、これで終わることはないと思います。アートで大きなポートフォリオを組むという目標がありますから。最終的には一般の方たちがこのような物を作ったり、それをマネタイズしたりできるよう、インセンティブシステムを作っていこうとしているところです。なので、皆さんを歓迎しますし、無料のビールと魅力的な人たちに会うのを楽しみに来てください。

質問者:チャールズさん、素晴らしいお話しを大変、ありがとうございました。

チャールズ:こちらこそ、ありがとう。

要約:渡辺水華
(注:要約文の二次利用はご遠慮ください。)

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