こんにちは。

渡辺水華です。

ある記事で、日本人は、外国人からは、
“inquisitive”な国民だと思われていると読んだことがあります。


inquisitiveの意味
→ 知りたがる、聞きたがる、好奇心の強い、せんさく好きな、根掘り葉掘り聞く

その反面、「静か」で「シャイ(shy)」だとも言われています。

アメリカの大学での体験

私がニューヨーク郊外に在住していた頃、
大学の授業を聴講していたことがありました。

当時、アメリカの現代史を学んでいたのですが、
質問タイムになると、
学生たちがとにかく積極的に質問をするのです。

正直、日本人なら、
「こんなことを聞いたら、笑われないかな?」と
思うようなレベルの質問が大半なのですが、

どんな質問でも、教授はきちんと受け止めて、
回答していました。

そもそも、学生を退屈させないことにかけては、
この講義にかぎらず、教授側がよく工夫しているのです。

日本であれば、教授が壇上に立ったが最後、
睡魔に襲われるほど退屈な内容でも
基本的に学生は表立って文句も言わず、

人前で恥をかくリスクを冒してまで、
質問をしたりもしないのですから、

この時点で日本とアメリカの授業の
体質がまったく違うことを感じさせられました。

さらには、教授がいきなり
私に話を振ってきて、
その時、私がキョトンとしていたら、
教授は肩をすくめて、どこかへ行ってしまいました。

明らかに「コイツは何もわかっていないな」と
思われていることがわかりました。

つまり、アメリカでは、
「発言をする」=「モノを考えている」
「何も言わない」=「何もわかっていないし考えていない」と
解釈されるのです。

また、学生たちに「講義が退屈」と評価されてしまうと、
教授側に「非」があるとされるので、
教授も自らの首をかけて
講義の流れを工夫しなければならないというわけです。

さて、「何もわかっていない」と思われた私としては、
提出するレポートぐらいはマトモに書かなければと思い、
教授が示した手順どおりにレポートを仕上げていきました。

そして、それを提出しました。

するとある日、ちょっと血相を変えた教授が、
私のところにやってきて、
「話があるから来なさい。」と、
誰もいない空間に私を連れていきました。

「君はどこで英語教育を受けたのかね?」
いきなりそう聞かれ、、

「?」と思いつつ、
私は「日本です。」と言いました。

詳細は忘れましたが、
日本では義務教育で英語を学び、
自分自身は短大で英語を専攻したことも話しました。

すると、
「君のキャリア(職歴)はどうなのか。」
「この講義は何のために受けているのか。」などの
質問を受けました。

アメリカ人は「好きだから何となく学ぶ」という
感覚がないように私には感じられます。

私は「…、ただ、興味があったから
このコースをとりました。」としか言えなかったのですが、
その答えが教授にはとても不思議だったようです。

「君のレポートを見せてもらったが、
とてもよくできていたよ。」と言いながら、
(評価は「A」か「A+」か忘れましたが)
評価が付いたレポートの結果を私に見せてくれたのです。

「むしろ、some American studentsより
よく書けていた」と褒められ、

そのあと、時間を置いてから、
他の学生からも、「あなたは日本人なのに
この講義を受けて、レポートも書いて、
凄いわね! I admire you!」などとも言われました。

裏を返せば、「何も理解していない」と
思われていた頃とのギャップが大きかったということでしょう。

shyなのに、inquisitiveな日本人

では、なぜ、その「静か(quiet)」で「シャイ(shy)」なはずの
日本人が”inquisitive”と言われるのか。

日本人の”shy”の裏側には、
常に自分がどう思われているかが氣になるし、
自分と違うことをする人がいれば、
どうしてそうするのかを知りたいという
心理があるような氣がします。

つまり、他人の評価や他人との違いに
敏感な国民であるとも言えると思います。

たとえば、日本人の方が人数が多く、
外国人が1人か少数だったりすると、
日本人は何か疑問が浮かぶたびに
質問を繰り返すという場面に遭遇したことがありました。

その時、質問ばかりされた外国人が
少し困ったような顔をしたので、
私はすかさず、”Sorry for too many questions.”と
言ったのを覚えています。

“inquisitive”と”curious”

さて、”inquisitive”の同義語には”curious”という形容詞があります。

“curious”も辞書には、
「ものを知りたがる」、「好奇心の強い」、「もの好きな」、「せんさく好きな」とあり、

“inquisitive”の辞書的意味とさほど変わりません。

ただ、

I am curious to know if it is true.
それが本当であるかどうか知りたい。
He was curious about the origin of the universe.
彼は宇宙の起源を知りたいと思っていた。

She’s inquisitive about everything.
彼女はなんでもかんでも知りたがる。
That reporter was very inquisitive about our business affairs.
あの記者は我々の事業について根掘り葉掘り聞きたがった。

などの文例から、
“curious”は、「詮索好きな」性質のほか、
強く興味を引かれる対象に対して、知識欲が高まっている状態をも表し、

“inquisitive”はどちらかと言えば、何かに首を突っ込んで
詮索したがっている様子を表すニュアンスが強い氣がします。

ちなみに、”curious”が「人」を修飾する場合、
「奇妙な」、「変な」の意となり(例 a curious fellow = 変人)、

“inquisitive”が「人」を修飾すると、
「せんさく好きな」の意となります(例 an inquisitive person = せんさく好きな人)。
また、”inquisitive”そのものが「せんさく好きな人」を意味する名詞にもなります。

“inquiry”は、主に米語で「問い合わせ」を意味し、
英国では”enquiry”と綴られることが多いです。

動詞ではpry

また「せんさくする」という動詞は、
pry (into)”です。
「首を突っ込む」の意ともなり、”snoop“も同義です。

このまま名詞として「せんさく好きな人」をも意味します。

たとえば、立ち入った質問をする前に、
「せんさくするわけじゃないけど、」と言いたい場合、
I don’t mean to pry but…“がよく使われます。

例)I don’t mean to pry, but who is that girl I saw you with?
せんさくするわけじゃないけど、あなたが一緒にいたあの娘は誰?

最近の日本人は”privacy”に対する意識が高くなってきていますが、
少し前までは、かなり立ち入った内容の質問が
挨拶代りになっていた時代もありました。

単一民族、単一言語の国家であるため、
単一の「常識」が「皆の常識」と捉えられていた面もあり、
加えて、「他人様はどうしているのか」を非常に氣にするため、
結果、立ち入ったことまで聞いてしまっていたということでしょう。

“shy”と”embarrassing”

人目を気にし、人前での失敗を恐れるという意味では、
日本人は”shy”でもあります。

shy“は「恥ずかしがり屋」という性質を表す形容詞、
「カメラ嫌い」は”camera-shy“とも言いますね。

ところで、アメリカでは”Embarassing Moments”という
番組が流行っていた時がありましたが
(今も放映しているのでしょうか)、
これは、放送事故や偶然などで起きた恥ずかしい瞬間を
編集して放送したものです。

embarassing“は人の「性質」というよりは、
傍から見ていても「(出来事や行為などが)恥ずかしい」という
概念を生じさせるものに対して用います。

先日、日本人が訳した英文にあった
“embarassed”がネイティブによって、
“shy”に修正されていたことがあったので、
一応、ニュアンスの違いを記載しておきます。

例)I feel shy when I have to speak in front of many people.
私は、多くの人々の前で話さなければならないとき、恥ずかしいと思います。

例)It was an embarrassing situation.
それは気まずい状況(厄介な事態)でした。

I felt quite embarrassed when I was forced to sing because I was a terrible singer.
私は歌が下手なので、歌わされたときはとても恥ずかしかった。

いわゆる「照れる」というニュアンスがあれば、”shy”、
それがなくて「恥」という概念があるのが、”embarrassing”といったところでしょうか。

なお、”embarrassing”は”interesting”と同じく、
(interesting → interested)

物事が「恥ずかしい」と思わせる内容であれば、
“It was embarrassing.”
人を主語として、その人が恥ずかしがっている場合は、
“I was embarrassed.”となります。