こんにちは。

渡辺水華です。

今現在はだいぶ英語の教育方針が
変わってきているとは思いますが、

日本の典型的な英語教育は、
文法や文の構成を学ぶことが中心でした。

私は高校生の頃、たまたま英文法が好きで、
数学で公式を学んでいるかのような
スッキリ感がいいなと思ったのを覚えています。

しかし、そうは思わない日本人も多いと思います。
少なくとも、私の友人で英文法が好きな人など
一人もいませんでした。

言語の目的

当たり前のことですが、
「言葉」は情報を伝えるためにあります。

なので、単なる音声や字面ではないことは確かです。

たとえば、「昨日、スーパーへ行った?」と聞かれたとします。

「昨日」という情報が真っ先に飛び込むので、
すぐさま「昨日」の状況を思い浮かべるはずです。

次に「スーパー」という言葉が飛び込んできます。
いきなり「スーパー」と言うということは、
家族や近所の友達から特定のスーパーのことを
聞かれていることが想像できます。

そして、最後に「行った?」と語尾の上がった音声を耳にして、
これが質問であることがわかります。

これを「情報の引き出し」に例えると、

「あなたは」というアウトプットされていない(口に出して言わない)情報が1番目の引き出し、
「昨日」が2番目の引き出し、
「スーパー」が3番目の引き出し、
「へ」が4番目の引き出し、
「行った」が5番目の引き出しに入っており、
最後に語尾を上げることによって、質問であることが確定します。

これに対する日本語の答えとして考えられるのは、

「行ったよ。」か
「行かなかったよ。」になります。

つまり、5番目の動詞の引き出しだけを開けて、
その情報に語尾を付けて答えます。

英語の引き出し

これと同じことを英語で言うとなると、

“Did you go to the supermarket yesterday?”となります。

1番目の引き出しには、”did”という助動詞が来ます。
この時点で質問であることが想像できます。

2番目の引き出しには主語の”you”。
3番目の引き出しには、動詞の”go”。
4番目の引き出しには、前置詞の”to”。
5番目には定冠詞の”the”。
6番目には前置詞の目的語である名詞、”supermarket”、
7番目に副詞の”yesterday”、
そして最後に語尾が上がり、
このセンテンスが質問であることが確定します。

これに対する英語の答えは、
“(Yes,) I did.”
“(No,) I didn’t.”(括弧内は省略可)となります。

引き出しに入れるものと出すもの

これを見ただけでも、日本語の引き出しには、
英語の引き出しに入っている助動詞の”did”と定冠詞の”the”がなく、

日本語では話す前にすでにある程度の状況が設定されていれば、
「あなたは」などの主語を省くことができ、

唐突に名詞(この場合は”supermarket”)が飛び出しても、
家族や近所の人との間で交わされる会話であれば、
そのスーパーが、近所かどこかの特定のスーパーを指すことがわかるので、
定冠詞も不要というわけです。

英語では主語と助動詞の引き出しから
それに該当する言葉(”I”と”did”[または”didn’t”])を
引っ張りだして答えを構成しています。

翻訳とは、引き出しからの情報の抽出

このように、「情報の引き出し」の順番や引き出しの内容、
情報をアウトプットするときに取り出すものが、

英語と日本語とでは異なるので、

英語では”Yes, I did.”と答えるからといって、
日本語に翻訳するときに、「はい、私はしました。」とすると
不自然な日本語になるのです。

ということは、翻訳とは、
その言葉が話されている背景を想定し、
どの引き出しを開けて、どの情報を取り出し、
言葉として出現させるかを考えていく作業と言えます。

外国語の情報を伝えるには、、
この引き出しの内容を理解するために文法を学び、
引き出しをなるべく必要最小限に開けて、
最小限の情報をアウトプットするという
効率の良い作業をしなければなりません。

そのような事情があるので、文脈から背景や状況さえ伝わっていれば、
「あなたは昨日、近所のあのスーパーマーケットへ行きましたか。」ではなく、
「昨日、スーパーへ行った?」と訳せばいいですし、

「いいえ、私は行きませんでした。」ではなく、
「行かなかったよ。」と訳せばいいのです。

また、そのように訳すのが自然な翻訳文にするコツと言えるでしょう。