こんにちは。

渡辺水華です。

学校で学んだ英文法の用語に
「部分否定」と「完全否定」がありますが、

日本語では、
「みんながみんな、そういうわけではない。」
「必ずしも全部がそうとはかぎらない。」というとき、
これが「部分否定」を表す言い回しとなります。

「そんな場所へは誰一人行かない。」
「いかなる場合でもそうはならない。」などは、
「完全否定」の言い回しです。

わかっているつもりでも、
うっかり間違えると実務面では
とんでもないことになりかねないので、注意が必要です。

「部分否定」と「完全否定」のおさらい

[部分否定(1)]

I wouldn’t eat all of these fruits.
このフルーツ、全部食べるわけではないよ。

つまり、1つか2つは食べるかもしれないけど、
全部は食べないということですね。

“not”と”all”の組み合わせは部分否定になることが多いです。

ただし、”I do not eat meat at all.”(肉はまったく食べない。)と、
“not…at all”の場合は、「まったく~ない」という意味になります。

このほか、
It is not necessarily true.(それは必ずしも真実ではない。)
It is not always true.(それは常に真実とはかぎらない。)
なども部分否定の表現になります。

[完全否定(1)]

I eat none of them.
I don’t eat any of them.
私はどれも食べない。

つまり、食べるのは「0個」ということです。

“none”や”not”と”any”の組み合わせは完全否定になります。

[部分否定(1)]

Everybody cannot do it.
それは誰にでもできることではない。
(一部の人はできるが、できない人もいる。)

I don’t know everything.
私は何でも知っているわけではない。
(知っていることもある。)

“every…”と”not”の組み合わせは部分否定になります。

[完全否定(2)]

Nobody can do it.
それは誰にもできない。

I know nothing.
私は何も知らない。

“nobody”や”nothing”などは完全否定です。

ここまではそれほど難しくはないと思います。

実務面で注意したいこと

ところが契約文書に記載されている細かい条件を英訳する際、
「部分否定」と「完全否定」をきちんと意識していないと
問題に発展しかねないケースもあります。

「以下の全要件を満たさないかぎり、本製品は出荷しないものとする。」

This product shall not be shipped unless all of the following requirements are met:

i)…
ii)…
iii)…
iv)…

(unlessは、「~なければ」、「~ないかぎり」)
(”shall”は原則として、「~するものとする」と訳されます。)

つまり、守るべき要件が上記i)~iv)まで4つあったとして、
4つとも満たさなければ、製品を出荷しないということです。

ところが、時々、契約書や製品の性質をわかっていないネイティブによって
以下のような英文に修正されることがあります。

This product shall not be shipped if none of the following requirements are met.
これを日本語に訳すと、
「以下の要件のいずれも満たさない場合、本製品は出荷しないものとする。」
つまり、「4つの要件のうち、何も満たしていない場合は出荷しない」ということは、
i)だけでも満たしていれば、出荷されてしまう可能性があるということです。
たとえ、残りのii)~iv)の要件を満たしていなかったとしても…

これでは厳しい条件をクリアした高品質な製品だけを
市場に送り出すということはできなくなります。

This product shall not be shipped if any one of the following requirements is not met.
「以下の要件のうち、いかなる(1件の)要件であれ、満たしていない場合、
本製品は出荷しないものとする。」
これはセーフですね。
4つの要件のうち、いずれか1つでも満たしていなければ出荷しないのですから、
結局は4つの要件を満たしたものだけが出荷されることになります。

なお、”any one of the following”ではなく、
any of the following + 複数形の名詞”が主語の場合、
“any”を意識すると、be動詞を”is”にしてしまいそうですが、
これはネイティブによって、”are”に修正されます。

例)[修正前]…if any of the following items is listed…
[修正後]…if any of the following items are listed…

anyに続く名詞は単数でも複数でもあり得るため、
「1つ以上の」という意味合いを込めて複数形にしておくといったところでしょうか。

たとえば、”Any questions?”(何か質問は?)という場合、
たとえ質問が1件である可能性があっても
複数形の”questions“にしておく概念と同じかもしれませんね。