こんにちは。

渡辺水華です。

翻訳会社では、日本人が英訳したものを
ネイティブがチェックする工程があり、

チェックが済んだ英文を再度、チェックすると、
日本人がなかなか氣づけない誤りに氣づかされることがあります。

また、副業でやっていた英文添削のなかにも
日本人が間違えやすい単語を発見することもありました。

以前、Eテレの「ニュースで英会話」で
聞いた内容も併せて、この記事にまとめたいと思います。

国と郡(州)

手紙などの宛先の住所には表記されないことが多いですが、
アメリカにもなにげに「郡」があります。

私がアメリカに在住し始めた頃、
実生活に影響はなかったものの、
一瞬、勘違いしたままだった単語がありました。

それが、「郡(英国では「州」の場合もある)」を意味する”county”です。
“country”(国)と大変よく似ています。

その時はあまり氣にもとめずに、
「あ、勘違いしてたわ」で済んでいたのですが、

他の日本人の方も何度か間違えていましたので、
注意点として挙げることにしました。

「原則として」の”in principle”

日本人はさまざまな文書で「原則として」をよく使います。
「基本的に」も同じくよく使います。

念のためそう言っておかないと、
例外的な事象が起きたときにトラブルになりかねないとの思いから、
この語を枕詞にしてリスクヘッジしているとも考えられます。

英語で「原則として」の訳語に当たるのが、
in principle“ですが、
これを”in principal“と綴る方がたまにいらっしゃいます。

プロの翻訳者さんにもそう綴った方がいましたし、
すでに出版されている参考書でも発見したことがあります。

“principle”は、「原理」、「原則」、「主義」、「本質」などを意味する名詞です。

“principal”は、名詞としては「頭(かしら)」、「社長」、「校長」などの「長」、「主役」、「本人」、「元本」など、
形容詞としては、「主な」、「第一の」、「重要な」などを意味します。

中学生のとき、”principal”の訳語として最初に習ったのが「校長」でしたので、
今でも”principal”の訳語として真っ先に出て来るのがこれです。

そのため、私は”principal”と”principle”を混同することはなかったのですが、
言われてみるとこの2語はよく似ており、間違えるのも無理はないのかとも思います。

「基本的に」は、英語では”basically”ですが、
“in principle”も”basically”も、
ネイティブにかかると多用する必要はないと思われるようで、
日本人が書いた英文から削除されていることがよくあります。

特に法務関連の文書では、例外も明記されるため、
「原則」に当たる規定や規則を記載する箇所にはそもそも
「原則」が綴られているのだからという理由で、
敢えて”in principle”や”basically”は言う必要がないと捉えるようです。

このことを踏まえて、”in principle”や”basically”の多用は避け、
使用するのはここぞと言うときだけに留めた方がいいと思います。

壊れたのは「ロマンス」か「物質」か

日本人の日英翻訳のなかにこのような語句がありました。
“breakup of Compound A”(化合物Aの分解)

実際には”Compound A”の部分は何かの物質名だったのですが、
ここでは「化合物A」としておきます。

するとネイティブによって”breakup”が”breaking up”に修正されました。
ネイティブによれば、”breakup”と聞くと、
「ロマンスの終わり」を連想するのだそうで、
“breaking up”の方がしっくりくるそうです。

ちなみに、辞書では、”breakup”の定義は以下のようになっています。

1 a. 分散; 解体; 崩壊; 《春先の河川・港の》解氷。
 b. 解散, 散会, 決裂; 《結婚などの》関係が切れること, 絶縁, 別れ, 破綻; 《学期末の》終業; 終わり。

辞書的には間違いではないので、
こればかりはネイティブの感覚によってしか、
修正のしようがなかったと言えます。

「記念写真」に潜む落とし穴

「記念写真」は直訳すると、”(a) commemorative photo”です。

たとえば、「記念撮影のため、人々が建物の近くに集まりました。」は、
“People gathered near the building for a commemorative photo.”と言うことができます。

しかし、これもネイティブにかかると、
そもそも写真を撮るという行為そのものが「記念のため」であるので、
“commemorative”は敢えて言う必要がなく、実際には言われないことが多いようです。

さらには時折、「記念写真」を英語で
“memorial photo”という日本人の方がいらっしゃるようで、
この”memorial photo”は「亡くなった方の写真」を意味し、
いわゆる「黒縁の写真」を連想させるので、
このように言わないよう注意しましょう。

「~によれば」のレアなケース

これはまだ、私が見てきたなかでは1例しかないですが、
“according to…(~によれば)”を
ずっと、”as according to”と綴っている方がいらっしゃいます。

この方は日英翻訳をかなり速いスピードでこなすので、
急ぎの案件では大変重宝していて、
これくらいの間違いであれば、ワード上では一斉置換で修正できますし、
そんなこんなでなんとなくご本人には直接指摘せぬまま時が流れてしまいました。

間違いは間違いでも、これは”according to…”のことだとすぐにわかるため、
間違えても大事には至っていないのです。

大事に至っていないから、
大きな誤解を招くわけではないから、
誰も困っていないから…

そんな理由で存在し続ける「間違い」が、
やがて定着して普通に使われるようになる事例も
この世にはたくさんあるのかも知れませんね。
(実際にありますが。)