こんにちは。

渡辺水華です。

いきなりですが、
簡単な英文和訳をやってみましょう。
 

英文和訳

(1) I saw a boy in the park a few minutes ago.

(2) I saw the boy in the park a few minutes ago.

義務教育で教わった英文和訳では、
いずれも「私は数分前に公園で男の子を見ました。」

これで正解です。

場合によっては、”a few minutes ago”を
「さっき」と訳したり、

“I saw”を
「(男の子が)いたよ。」と訳してもいいですね。

しかし、もう一つ、気になることはありませんか。


 

“a”と”the”

そう、それは、
a“と”the“の違いです。

よく見ると、この2つの文章の違いは、
冠詞の”a”と”the”だけですね。

日本語には冠詞がありませんし、
“a”であろうが、”the”であろうが、
何がそんなに違うのかと思われるかもしれません。

しかし、”a(an)”という不定冠詞も
“the”という定冠詞も、

単に名詞の飾りとして
付いているわけではありません。
 

不定冠詞”a”と定冠詞”the”の使い分け

そこで、ちょっと冠詞の使い方の
ルールの「おさらい」です。

a(an)は、数えられる名詞(可算名詞)の
単数形に付く不定冠詞です。

初めて会話の中に登場する物事、
話者が知っていても聞き手がまだ
知らない物事や情報に付けられる冠詞です。

つまり、(1)の英文は、これまで文脈になかった
“boy”が登場する前触れとして”a”が付けられたものです。

たとえば、Aさんが
「ね、さっき、公園に男の子がいたんだけど…」
というニュアンスで、Bさんに話かけたとします。

AさんとBさんの会話に初めて登場する
「男の子(boy)」ですので、
不定冠詞の”a”が付くことになります。

ところが、熟練していない翻訳者にかかると
(1)の英文が、

「男の子を2~3分前に公園で見ました。」というような
日本語に訳されてしまいます。

初めて登場するのに何の前触れもなく
唐突に「男の子」を登場させてしまうので、
意味は通じるものの、読む側は少しビクッとします。

AさんとBさんの会話に戻りますが、
Aさんは続けて、「その子(英語では”He”と言いますね)は、
赤いシャツを着て、ブランコに乗っていたの。」と言うと、

Bさんがすかさず、
「あ、その男の子(boy)なら、
私もさっき公園で見たわよ。」と言ったとします。

その会話に男の子が登場するのは2度目ですので、
“Oh, I saw the boy in the park (a few minutes ago), too.”となり、
“boy”には定冠詞の”the”が付きます。

“the”はすでに会話に登場した物事や、
話者が聞き手も知っていると認識している物事に付く
冠詞ということになります。

公園の”park”には最初から”the”が付いていますが、
これはAさんもBさんも知っている
近所の公園などであることが想像できますね。

ちなみに、
日本語の五十音表の最初に登場するのは「あ」ですが、
アルファベットの最初に登場するのも”A”です。

そして、何もなかったところに、
何かの始まりを告げるのも
不定冠詞の”a(an)”だとすれば、

「あ」という音には無から有を生み出す
パワーがあるのではないかとさえ思えてきます。
 

解釈と訳例

最後に、ほんの一例ですが、
(1)は、「さっき公園に男の子がいたんだけど…(云々)。」
(2)は、「その男の子ならさっき私も公園で見たわよ。」というふうに
解釈するのが自然だと思います。

もちろん、文脈によって
何通りもの日本語訳が出てくることは
言うまでもありません。